経営に役立つコラム

Column

2020.12.15

コロナ危機を経て必須になる経営課題

コロナ危機に揺れた2020年が間もなく終わります。昨年の今頃は、コロナのコの字もなく、いつものように間もなく新しい年が始まると思っていました。新型コロナウイルス(以下、コロナと略称)の発生は2019年12月、中国の武漢と言われていましたが、確証は取れていないようです。どこが発生の地かは別にして、この原稿を書いているちょうど1年前に発生したことは間違いないようです。

「不況本番の年」を予想していたものの……

コロナを私たちが「これは大変なことだ!」と真剣に受け止めるようになったのは、3月に安倍総理(当時)が全国小中高校の臨時休校を要請した頃からでしょうか。そして4月16日、安倍総理によって緊急事態宣言が発令され、私たちビジネスパーソンを含めて多くの国民が巣ごもりを始めるに至りました。この宣言が解除されるまでのおよそ1カ月半、個人消費を中心に経済活動はほぼ停止し、飲食店をはじめとする小規模企業の倒産や廃業が相次ぐ一方、就職の内定取り消しや雇い止めなどのニュースが毎日のように流されました。

覚えている方もいらっしゃると思いますが、2019年の末から新年にかけて私は「2020年は不況本番の年になる」と言い続けていました。理由の一つは、その前々年の2018年から人手不足倒産(私は「人材不足倒産」と言っています。「人手」ではなく、自社に欲しい人材、必要な人材が入って来ないゆえの倒産・廃業)が増え続けていたからです。

また、今年2020年は東京オリンピックの年でした。開催されていれば、中小企業の多くがオリンピック不況にも苦しめられるだろうと予測していました。この二つの要因が中小企業を襲い、不況本番になると読んでいたのです。

コロナ危機が運んだチャンス

ところが、2020年に入って間もなく、誰もが全く予想できない「コロナ危機」が勃発しました。コロナ危機は世界中の人や企業を苦境に陥れ、オリンピックも1年先の延期を強いられることとなりました。コロナ危機は1波、2波と続き、2020年の秋冬には、コロナの感染者が急増(3波)していきました。この一連の流れは、人手不足よりも、オリンピック不況よりも、はるかに強烈な経営危機となりました。
「2020年は不況本番の年」と言っていた私は2020年をこう振り返っています。

「不況本番を予測した根本的な主因は、マーケット縮小がより現実になっていること。コロナ危機はマーケット縮小に対する経営戦略の実行を早めさせたと捉えられる。つまり、コロナ危機は中小企業にとってピンチではなくチャンスをもたらしたと受け止めるべきだ」と。
チャンスと捉える主たる理由はデジタル社会への急速な進展です。その動きは数年前から進んでいました。

たとえば、DⅩ(Digital Transformation=デジタル・トランスフォーメーション)については、2018年から経済産業省の中に研究会が設けられ、企業活動や社会活動の有力な変革戦略として議論されていました。背景にあるのは少子高齢化による生産人口の縮小、すなわちG.S.ブレインズグループが10数年前から声高に叫んでいた「マーケット縮小」への急速な流れです。

テレワークやオンライン・コミュニケーション、オンライン営業は、コロナ危機が勃発しようがしまいが、必然的な流れとして進んでいたのです。コロナ危機を歓迎しているわけではありません。強調したいのは、DXはマーケット縮小への変革アプローチとして自社に取り入れるチャンスであると強調したいのです。このように捉えて自社にDXを取り入れていけば、新型コロナウイルスの感染防止対策になり、同時に自ずとマーケット縮小に対する経営戦略の一つの柱になっていきます。

ビジネスパーソンの巣ごもりはテレワークを広げました。通勤のムダをなくし、自宅の部屋などで集中して仕事ができる環境は高い生産性を運んでくることが実証されました。ミーティングや会議、あるいは取引先との商談や営業活動は、フェイス・ツウ・フェイスよりも効率よく進められ、結果に結びつくこともわかりました。付加価値を高めることができます。これらのことが私の言う「チャンス」にほかなりません。

マーケット縮小の時代を生き抜くためには、①生産性の向上②付加価値の向上そして出口として③収益力の向上が不可欠です。DXはこの3つの革新目標を達成する有力な手段になります。

2021年の経営環境はどうなるか

一方、コロナ危機は2021年に入っても続きます。ワクチンが日本で実用化される目途もまだ立っていません。だからといって、今年のように経済活動を止める期間をつくるわけにもいきません。コロナ危機は2021年も続く──このことをまずは頭に入れておく必要があります。

そのうえでの私の見通しですが、下半期から全体に活気ある経済が戻ってくると予想しています。上半期にコロナ感染のリスクが収束すると見ているわけではありません。コロナ危機について政府は、感染防止と経済政策を同時並行で実行するという基本方針を立てています。私はこの方針に与しています。経済を止めて大々的な感染防止策を実行すれば、経済は回復不能レベルに落ち込んでいきます。倒産や廃業がさらに急速に広がり、どれだけの人が生きる希望を失ってしまうかわかりません。

日本はもはや、ブレーキとアクセルの両方を、バランスを取りながら踏み込んでいくしかないのです。そのためには、企業経営者は国の方針に耳を傾け、進もうとする方向に沿った方針、計画を立てるしかありません。その一方で自発的な感染防止策を徹底して実行し続けるのです。

下半期は翌年2022年以降の計画に力を投入

現実的な問題をいえば、2021年から22年にかけてやらなければならない実務を抱えている企業はたくさんあるはずです。たとえば借入金の返済や猶予されていた税金の納付もあるかもしれません。コロナ禍で借入金が増え、今後の計画を立てられないという企業には、M&Aを考えることも必要でしょう。もしかしたら、それが最良の選択になるかもしれません。

M&Aはまた、積年の問題である事業承継の出口に選択するケースもあります。ご本人は高齢化しつつも、最適な後継者が見つからない中小企業は五万とあります。ぐずぐずしているとM&Aではなく廃業しか出口がないというケースもたくさんあります。もはや猶予はないはずです。

この問題を抱え続けている中小企業には、「2021年はこの問題に答えを出すべき年」と位置付けていただきたいと思います。でなければ、マーケット縮小という最大の難問に答えを出すチャンスがなくなります。2021年から22年にかけては、仮にコロナ危機が終息していてもマーケット縮小への対応という長年の厳しい経営課題は続きます。続くというより、ますます深刻になってきます。

私が指摘しているマーケット縮小に対する根本的な対策は、先に指摘した①生産性の向上、②付加価値の向上、③収益の向上、の3本柱ですが、この3つの経営課題をクリアするためには人材不足をなんとか解決しなければなりません。
そのためにやるべき最も大事なことは人事評価制度の確立です。「必要な人」「欲しい人」を採用するには人事評価制度の確立・運営が不可欠です。〝人手〟ではなく自社に不可欠の〝人材〟を求めるならばこの制度を導入するしかありません。次回は人事評価制度を中心に述べることにしましょう。

近藤浩三

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