経営に役立つコラム

Column

2021.07.21

管理職が担っている部下育成の5大要素【その2・型】

前回は、5大要素の一番目〈ルールを守りきらせる〉について説明しました。人々が社会の中で活動するためには「ルールを守る」ことが大前提になります。ルールを守らない人は、社会活動・経済活動に参画できません。つまり、ビジネスパーソンとして生きていくことはできません。

そのルールを教える役割を担っているのは、会社の中では直属上司ということになります。ルールを守りきらせなければ、いつまでたっても企業の「戦力」にはならないのですから管理者にとっては、最も基本的な任務といえるでしょう。

管理職が担っている部下育成の五大要素【ルール編】

先月の本欄末尾に、管理職が担っている「部下育成のための5つのテーマ」を示しました。誤解を生まないように一部言葉を加えて再掲します。

「型」とは何か

この「ルール」と並んで基本中の基本として身につけなければならないのが「型」です。「型」とは、ここでは「成果を出すために必要な行動(やり方)」という意味です。柔道の型とか空手の型、野球やテニスなどの正しいフォームなどを思い起こすとよいでしょう。

たとえばプロ野球の場合、高校野球で活躍した選手がなかなか結果を出せない場合が少なくありません。結果が出ないとしても、球団が放っておくことはありません。コーチが付き、プロとして通用する「型(フォーム)」を徹底して教え込まれているのです。

会社の新入社員も同じで、戦力として活躍するには、その会社で実際に先輩たちが成果を上げてきた「型」を身につける必要があります。営業職であればセールストークが典型的な例でしょう。

生産現場なら最も生産性が上がる方法でしょうか。建築現場なら、生産性と同時に安全性を身に付けることも「型」です。総務でも、経理でも、一定の仕事のやり方を教え込まれます。コロナ禍の今であれば、テレワークやリモートミーティングの基本的なやり方(方法)などを教え込まれるでしょう。

いずれもその会社で効果を上げているやり方があり、どの仕事でも入社後に最初に教えられるのがこれらの「型」なのです。中堅企業以上だといずれの仕事もその型が「標準化」され、かつ「見える化」されているのが普通でしょう。標準化・見える化されていれば、やり方を忘れたり、うまく出来なくなったりしたときにそれが助け舟になります。

組織力が高まるか落ちるか…

問題は、学卒の新入社員や中途入社社員を配属されたときの管理職の対応です。ここが最も重要な局面になります。組織力・企業力というのは、このプロセスで決まるといってもよいくらいです。

特に、型の見える化ができていない会社の場合、新入社員が頼るのは直属上司の管理職だけといえます。もちろん、先輩社員が教えてくれるシーンもあると思いますが、仕事の型まで頼るわけにはいきません。

ここは、プロスポーツのように専属のコーチが教えないと間違った型を叩き込まれることになりかねません。スポーツのコーチングのように、一対一のコミュニケーションによって伝えていくのがベストであり、必須ともいえるでしょう。

なぜ必須かといえば、先輩社員から余計なアドバイスをされることもあるし、先輩社員と上司が異なる型を教えられこともあるからです。

しかし、一対一で新人に型を教えていくのはそう容易いことではありません。多くあるのは、上司は正しく型を伝えているのに新人のほうが異なる受け止め方をしてしまったり、教え方に不満を持ったりするケースも大いにあります。

人間同士だから誤解も生むでしょうし、感情的なものも絡んできます。新人から「この上司、大丈夫かな? 言っていることがわかりにくい」、「なんだか上から目線だなあ。この上司と毎日付き合うのは嫌だな」といった気持ちが出てきたら、師弟関係は成立しなくなります。

成立しないとしたら、お互いの関係は当然、長くは続きません。入社したばかりなのにさっさと辞めていくケースはよくあることです。これは、テレワークやリモートコミュニケーションの中でも十分に起こり得ます。

こうならないために、私たちが薦めている「成長の3要素経営」の中で、合言葉のように言い続けている文言があります。「答えは相手が持っている」です。どういう意味でしょうか。

お互いに値踏みをしつつ

教える側に立つ上司は案外、不安を抱えているものです。一つの型を教えた後、一人で心配になることがあります。

「あいつ、わかったかなあ」
「あれだけ丁寧に教えているんだから、呑み込んでいないとしたら、将来が危ぶまれる」

一人になるとこんな心配が浮かんできます。そこで私たちは皆さんに言うのです。答えは部下のほうが持っているのですよ」と。
上司はとかく心の中でつぶやくのが、「あの顔じゃ、十分にわかってないな。まだ無理か。入ったばかりだからな」「わからないとしたら将来を期待できないかもしれないなあ」と、相手の部下の値踏みです。

しかし、相手も上司を値踏みしています。その値踏みが悪いほうに行けば、日が経つにつれ、次のような思いが浮かんできます。

「将来、こういう上司にはなりたくないな」「さっさと辞めた方がいいかも」
そして、やがては退職願いを手渡すことになります。

もちろん、値踏みが良いほうに行く例もたくさんあります。

「あの上司、実績がすごいんだなあ。やがて部長、役員と昇進するのだろう。とにかく、素直に学んでみよう」
こういう良い驚きを感じた時には自分に対して期待感を持つことでしょう。ただし、思いが次のような方向に行くこともあります。

「すごい実績のある上司なんだ。う~ん、自分には無理だなあ。それにあれだけの実績を築くには相当の努力が必要だけど、俺は無理だな。会社人間にはなりたくない」
仕事の型を教え込みながら、自分の実績を自慢げに披歴ばかりしていると、こうなるケースになりがちです。

最後に非常に大切なことがあります。型は教えるだけでは身につきません。上司は、当該の部下が実際に型に沿った仕事をしているかどうかを日常的にチェックし続けることが必要です。

日常的に型が出来ているかどうかを見るには、実行管理のサイクルであるPDCA[Plan (計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)]を回すことが不可欠です。このPDCAは、部下に型を教える時に必要になりますし、何よりも部下を育てるためには必須のサイクルです。
詳しくは、稿を改めて説明します。

近藤浩三

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