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2021.12.01

暦年贈与の改正に備えて、検討しておくべき対策5選

11月19日に来年度税制改正大綱の内容を検討する自民党税制調査会の総会が開催されました。昨年の税制改正で「暦年贈与がなくなる!?」という疑問の答えがもう少しで判明しそうです。今回は、もし暦年贈与がなくなるとしたときに、この年末年始に検討しておくべき対策を5つご案内させていただきます。

暦年贈与の改正の可能性

まず、昨年の税制改正から取り沙汰された暦年贈与の改正可能性についておさらいをしていきます。

暦年贈与を使った相続対策とは、毎年110万円の贈与の無税枠と相続税の税率差を利用して、親から子などへ贈与を繰り返すことで相続財産を減少させるというものです。この手法を悪用し、相続発生の直前に贈与をしてしまうということを封じ込めるため、現在でも、相続・遺贈で財産を受け取る人が相続発生3年以内に受ける贈与は、相続財産に含めるという規定(「生前贈与加算」と言います)が存在しています。この3年以内の生前贈与加算は、贈与税が発生した贈与だけが対象と誤解されている方がいらっしゃいますが、贈与税の発生の有無は関係なく、3年以内であれば対象となります。

今回の改正では、この生前贈与加算の範囲が3年から10年や15年、はたまた一生涯になる、あるいは無税枠の110万円がなくなる、などという改正がされるのではないかと言われております。

こちらのコラムもご覧ください。

暦年贈与が廃止に!?

昨年の12月10日に令和3年度税制改正大綱(税金の制度が変更される予告)が与党から発表されました。その中にとても重要な記述がございました。

P18~P19の相続税・贈与税の在り方の項の中の「資産移転の時期の選択に中立的な相続税・贈与税に向けた検討」というタイトルにおいてです。要は「もっと公平に贈与税・相続税を課税したい」という内容となっています。

以下、この改正がされるとしたら、この年末年始に何か検討しておくべき対策がないか、5つご紹介します。

対策①・・・暦年贈与を実行する

上記でお伝えした改正がいつからになるか、今の段階ではわかりませんが、少なくともこの改正に注目されている方は、相続対策に興味がある方かと思います。つまり、相続税の対策の必要性を検討されている方と思います。そのような方には是非、年内の贈与の実行をお勧めします。

確かに改正で生前贈与加算が10年や15年、一生涯などになってしまうと贈与の効果がなくなってしまいますので、「意味なくなるのに贈与するの?」と思われるかもしれません。しかし、それは贈与をしなかったということと同じに戻るだけですので、もし改正の反映される時期や内容によっては、今回の贈与は有効になる可能性があります。

またおそらく改正が施行されるのは来年4月以降ではないかと予想しております。もし、それまでに行う贈与は従来と同じ3年の生前贈与加算となるのであれば、年明け3月までに再度贈与を行うことも検討するとよいかと思います。この暦年贈与は「暦年」、すなわち1月1日から12月31日の間でいくら贈与があったかで贈与税額を計算するというものです。もし110万円の枠内、あるいは払っても少額の贈与税であればもっと多く贈与がしたい方は、年内と年明け3月までの2回の期間に相続対策としての贈与を実行してはいかがでしょうか。

もし、贈与を実行した場合には、贈与税の申告も忘れずに。

対策②・・・贈与をする財産を検討する

上記対策①と合わせた検討になりますが、現金のように今年も数年後もあまり価値の変わらない財産より、値上がりが見込まれる財産から贈与をすることをお勧めします。特に非上場株式については業績等によっては数年後に何倍にもなっているようなケースもあります。すぐに換金しづらいということから、この年末年始の贈与の対象として積極的に考えていただきたい財産です。

もし、贈与する財産が現預金であれば、改正の動向が12月中旬には判明しますので、それから考えてもよいかと思いますが、非上場株式の場合、時価がわからないと贈与税がかかるのかどうか、どのくらいまで贈与できるのかが検討できませんので、評価が必要になってきます。その評価にも時間を要する可能性がありますので、早めの検討が必要です。

対策③・・・贈与をする相手を見直す

生前贈与加算は故人がお亡くなりになった時に、相続あるいは遺贈(遺言で財産を承継する)で財産を取得した人に適用される制度です。例えば、父・母・子供2人(それぞれに孫1人)の場合、遺言がなければ、父がお亡くなりになった際は、母・子供2人が相続人になります。よって、母と子供が相続で財産を取得していて、相続発生前3年以内に父から贈与を受けていれば、生前贈与加算の対象となります。

しかし、孫は遺言や生命保険金の受取人になっていなければ、お亡くなりになって財産を取得していませんので、この生前贈与加算の対象にはなりません。すなわち、相続直前でも贈与は贈与で完結するわけです。

よって、贈与を検討する際は、孫や子の配偶者などを受贈者にすることも対策の一つになります。(子が亡くなっていて孫が相続人になるケースや、孫が遺言で財産を取得する場合などは生前贈与の対象になるのでご注意ください)

対策④・・・非課税制度を利用する

贈与にはこれまでお話した贈与税の対象となるのが通常ですが、制度趣旨から一定額までは、非課税として扱われる贈与があります。その非課税となる贈与の場合には、生前贈与加算の対象にはならず、贈与の時点ですべてが完結します。この非課税の対象となる制度は次のようなものがあります。

(1)贈与税の配偶者控除の特例制度
(2)住宅取得等資金の贈与の非課税制度
(3)教育資金の一括贈与の非課税制度
(4)結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度

このうち、(1)は配偶者の相続税の税額軽減があるので、先に贈与をすることが逆に損をすることもあるので、配偶者に生前にどうしても家などを持たせて起きたいという場合以外はあまりお勧めしません(何らかの理由で持たせたいのであれば、遺言でも対策が可能です)。一方(2)は要件こそ厳しいですが、親が子の住宅取得を堂々と応援できる制度ですので、そのような方には非常に有効な制度です。

対策⑤・・・専門家の相続シミュレーションを実施する

上記のような対策を行うにしても、いくらがよいのか、何がよいのか、そもそも必要なのか、という点が明確になっていなければ有効な手段がとれないものと思います。このネット社会なので検索すればある程度の対策は出てきて、飛びついてしまうのですが、その理解を誤っているケースも多く耳にします。先日も「贈与は毎年無税枠で行うと危ないんでしょ?」「贈与税の申告さえしておけば大丈夫なんだよね?」などのご相談がありました。意見すると正しそうですが、これらはいずれも正しい情報を理解されていない誤解で、贈与としての適切な手続きや税務調査の対策が抜け落ちています。

また、相続や贈与は家族間でも非常にナーバスな話題ですので、各家庭で状況が異なります。一例ですが、長男家族が自分の面倒を見てくれるからと長男と長男の妻に贈与をしたところ、長女がこれを知り、家族間でのもめごとになったというケースもありました。

相続贈与の対策は正しい知識と手順で、上記のような問題点を加味した上で現状を把握し、対策を講じるようにすることが肝要かと思います。

もし、改正がされて4月からの贈与が対象になるとすると、残り時間も限られますので、是非、この機会に相続対策・贈与をご検討されてはいかがでしょうか。

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